カジノ・ロワイヤル
2008年 02月 19日
007シリーズに原作があるなんてことを全然知らなかった。
おまけに、この『カジノ・ロワイヤル』が第一作の映画化だとは知らずに見始めたので、序盤のジェームズ・ボンドの雰囲気があまりに今まで見てきたものと違っているのに驚き、かなり戸惑ってしまった。途中で調べたりして、多少見方が変わったけど‥‥。
ジェームズ・ボンドというと、女好きな(笑)ウィットに富む会話の出来るお洒落な男――と思っているので、そういう点では桁外れに予想外であった。あまりの違いに慌てて Wikipedia を読んでみた。
原作一作目ということで人物像もまだ固まっていなかったらしい。その後のボンドとはちょっと違うのだとか。そうね、そんなに紳士的ではないし、結構乱暴。その状態を忠実に表現しているということらしい。ジェームズ・ボンドがその地位を確立する少し前のお話なのね。
非常にハードボイルドな作品。加えてスパイ“アクション”だなぁと。アクションは嫌いじゃないけれど、度が過ぎると洗練された感じが低くなってしまうような気がする。冒頭のアクションシーンなんて結構生々しい(正確には暴力シーンというのだろうか)。今までの作品を全部見たわけじゃないけど、血にまみれるってあったのかな? この辺り、バランスが難しいんだろうなと思う。
主役のダニエル・クレイグは、ちょっと暗そうな感じにも見える。ただ、話が進むにつれ時折見せる微笑みが結構キュートだなと思った。フフフと笑える演技が出来るのかな‥‥この人。“たらし”のジェームズにはなれると思うが‥‥。真顔で面白いことを言うピアース・ブロスナンが好きな私に、今後このダニエル・クレイグのボンドがどう映るのか、ちょっと興味が湧く。それに、この作品で悲しみをしっかりと描写して、かなり人間臭いボンドが出来上がっている訳だけど、これがどう変化していくのか、それともそんなに変わらないのか、その辺もすごく興味がある。彼の演じる“この時”以降のボンドが早く見てみたい。
ロマンス的なものについては、ハッピーではないとだけ。そこがあまり好きではない所。まぁ、これがないと先(今後)に進めないので仕方ないけど(苦笑)。
事象として9・11の話が出てくるので、他のストーリーも今後映画化していく気満々――と捉えたけど、それでいいかな。そういう点でも今後の作品が待たれますな。
これまでのボンドと同じだと見るか見られないかは、今後にかかってるのかなとも思う一方で、もしこれをピアース・ブロスナンが演じたなら、どんな風に演じただろう?とも思う。同じ人間として、古い作品のボンドと同じキャラで演じるだろうか? 実際には、人間性なんてものはそう簡単に変わるとは思えないので(というか、このことで後の変化があんな風とはちょっと…と思うし)、そういう変更も有りかと思う。でも彼なら、お洒落な会話はそのままに、少し乱暴なボンドを演じるかもしれないなぁ。ブロスナンのこの作品も見てみたい。
違うスタイルのボンドという見方を今の所はしておく方が無難かな。スパイアクションとしては、普通に楽しめたし、ダニエル・クレイグは素敵だった。